2009年07月02日
ボンズ制作のカサオカです。
随分と間が開いてしまいましたが、亡念のザムド本編終了を期に、色彩設計の梅崎ひろこさんにインタビュー致しました。作品の色を決定する職分としての色彩設計と言うのがどのような役職なのか、少しでも感じ取っていただけたなら幸いです。
【亡念のザムド】スタッフインタビュー06
色彩設計:梅崎ひろこ
:イラスト 宮地昌幸
―― まずは、亡念のザムド全話ご作業終了お疲れ様でした。
梅崎 お疲れ様でした。
―― とは言うものの、終了してもう既に結構時間はたっている訳ですが(笑)
梅崎 思い出話みたいな感じですね(笑)
―― まずは、全体を大きく振り返って、亡念のザムドのご作業はいかがでしたか?
梅崎 そうですね、普通のテレビシリーズではやれないような事をたくさんやらせてもらったな、と思います。細部にわたって、1カット1カット、徹底的にこだわらせていただきました。パートカラー・・・・・・モノトーンに近い色彩で、どこか一部だけ原色に近い色を残す表現なんですけど、美術さんから、原色の背景とモノトーンになっている背景が重なったレイヤーになっている素材を頂いて、背景のどこの色を残すかなどを調整しながら、セル自体の色を調整しました。普通は、シーン毎にボードを作って、セルもそれに合わせてシーンで統一した色を使用するんですけど、パートカラーの場合はホント1カットごとに全て微調整をかけてます。自己満足かもですが・・・・・・。
―― こだわりと言えば、テシク(氏族)の色なんかも結構こだわってますよね。
梅崎 名前が無いテシクの一般の人たちはそれほどではないですけれど、老頭とか若頭とか偉い人たちは、ストライプの模様だったり作業している方は大変だったのではないでしょうか?
―― 序盤に出てくる尖端島のキャラクターやザンバニ号のキャラクターなど、個性的なキャラがたくさん出てきますが、国籍的な部分などで色を工夫された点ってありますか?
梅崎 ザンバニ号のメンバーに関しては、最初の打ち合わせをした時に「この人たちはこれこれこう言う人種の人たちで・・・」って言う具体的な説明があったので、それに基づいて色は決めましたね。髪の色とか、肌の色とか、目の色とか。尖端島の人たちは、日本っぽいと言うか、現実の世界の人たちっぽい雰囲気で考えました。後は、打ち合わせで皆さんのご意見をお伺いして、どういう性格ならどういう色が合うのか、と言うことを考えながら調整していきました。塗ってみてから、「これじゃちょっと地味だなー」とか思って修正していったりもしましたね。
―― 色を決める上で思い入れのあるキャラクターは居ますか?
梅崎 キャラも小物も一杯一杯塗ったからなー・・・・・・、どのキャラって言われると難しいですね。んー・・・・・・ザンバニ号で言うと、伊舟が一番印象深いですね。他のメンバーが大体決まっている中で、色が被らないようにしつつキャラクター性を出すので苦労しましたね。後のメンバーはすんなり決まった気がします。後は、ゼーゲンドォですね(笑)最初はもう少し落ち着いた感じだったんですけど、調整して行く内に監督とかからも「もうちょっとここ派手にしようよ」とかご意見を頂いて、派手目な紫を入れてみたり(笑)
―― 白エナメルの靴とか(笑)
梅崎 そうそう、あれは面白かったですね(笑)今テレビ放送されているのを自分で見てても、「ゼーゲンドォ派手だなー」と思います(笑)
―― カラフルさが逆に民族衣装っぽさを引き立ててた感じですね。
梅崎 そうですね、アジアっぽい民族衣装のテイストを入れたいと言うご要望はありましたので。そう言う感じになるように調整しました。
―― ちょっと話を変えまして。世の中には色んな色彩のアニメーションがありますよね。かなりモノトーン気味だったり、逆にカラフルだったり。そんな中で、梅崎さんご自身はどういう色彩のアニメーションがお好きなんですか?
梅崎 あんまりにも色が無い作品は寂しいので、色を見せるところは見せつつ、押さえる所は押さえる、メリハリのある作品、色が好きですね。自分がその作品に関わって作業する上だと、作品の内容やキャラクターのデザインによって、「この作品にはあまりきつい色は似合わないな」とか「柔らかい方が良いな」とか考えますね。完全にデザインや内容によって変わってくるので、作品に合わせてトーンも変えていく感じです。ザムドは線が柔らかくて、影付けも当初は少なめと聞いていましたので、それで色が無いとホントにペッタリしちゃうので、ある程度影が無くても見えるような色にしておかないといけないな、と思ってました。かといってキツい色を使うと線の柔らかい感じに合わないなと思って、メインキャラクターの色はその辺りを意識して作りました。
―― 梅崎さんの中で、色の幅としてどの辺りまでがアリなんですか?
梅崎 ん?例えば?
―― 例えば、現実に存在しないピンク色の髪の毛とか。
梅崎 あぁ、そう言うのは苦手といえば苦手ですね(笑)もちろん原作があればそれに従いますが、オリジナルで現実にありえない色彩を持ってくるのは、苦手です(笑)
―― 今回はクジレイカがピンク髪でしたけど、違和感無かったですよね。
梅崎 そうですね、あの子の場合は全然違和感無かったですね。
―― むしろエキセントリックさが良く出ていたと思うんですが。
梅崎 そんなにきついピンクでも無かったですからね。あれがショッキングピンクだと「無いなー」って言う感じでしたけど(笑)まぁ、リアリティも大事ですけど、キャラクター性も大事ですからね。最初アキユキ君を塗っている時、イメージボードが黒髪だったんで黒で塗ってたんですけど、ためしに茶色にしてみたらどうなるかなーと思ってやってみたんですよ。そしたら、なんか凄いプレイボーイ風になっちゃって(笑)アキユキ君のキャラクターとしてこれは無いな、と(笑)
―― ザムドの色についてなんですけど、各ザムドはそれぞれもとのキャラクターの色から発展させた感じで作られたんですか?
梅崎 それは意識してますね。「ここはこうした方がもっと良くなるかな」って言う部分は、こちらからパターンを提示しつつ皆さんのご意見を伺った感じですね。
―― 大体のザムドは元の色からの延長で分かるんですけど、雷魚のザムドは何故紫なんですか?
梅崎 あれは・・・・・・なんでだったかな。最初に橋本さん(ザムドデザイン)とどういうお話をしたのかはよく覚えてないんですけど、おそらく雷魚なので、水の青から、紫系にしようと言う事にになったのではなかったのかな、と思います。巨大ザムドなどは、APSスーツの訓練機が黄色いので、それと被らないように、と思って黄緑になったような気がします。うろ覚えですいません。先に決まっているものと被らないように、と言う逆算で決めたと思います。
―― そう言う意味では、シリーズものでは後になればなるほど使える色は少なくなっていくんじゃないですか?
梅崎 辛いです。あれも使ったし、これも使ったし・・・・・・で(笑)テシクの村の人々なんかは、後半に出てくる分特に苦労しましたね。ヤンゴちゃんも結構悩んだ覚えがあります。テシクっぽい雰囲気にしたいと言う話を聴いていたので、服装のデザインを見ながら、どうテシクっぽくしようか悩みました。あれ?ヤンゴちゃんは結構最初の頃に決めてたんでしたっけ?版権で(笑)
―― そうですね。ナキアミと二人で階段に座っている雑誌版権がありましたね(笑)
梅崎 テシクはゼーゲンドォとヤンゴ・ナキアミで大体の方向性を決めたのかな。・・・曖昧ですね、申し訳ありません。
―― 作品の色を決める上で、色彩設計としての意見ってどれぐらい反映されるものなんですか?
梅崎 監督によりますね。監督が「ある程度お任せするよ」って言う感じだったらかなりの割合が色彩設計さんの意見になると思うんですけど、細かく指示される方だと、監督の意見がかなり投影されていると思います。
―― 色のコントロールも監督に拠りけりなんですね。
梅崎 最終的に、自分としてあまりにも「これは無いなー」と言うのがあったら意見はしますけれども、そこでどれだけ調整が取れるかですね。
―― 色を決める上で、どんな設計にすれば仕上げさんの作業が軽減されるかなど、作業工程の効率を全体を考慮して決められるんですか?
梅崎 それはかなりありますね。色数ばっかり多くなっちゃっても大変だし、「ここを塗り分けにするとパカ(※)っちゃって大変だな」とか。常に意識はしてます。デザインによっては、それが分かっていても分けざるを得ない時もあるので、両方を考えつつ「塗り分けはするけれども、色は他の部分と兼用しよう」とか。後作業の効率を意識しながら調整はしてます。デザイナーさんや監督さんの意向もありますので、増やさざるを得ない状況もありますが、なるべく後作業の仕上げさんの事は考えて作業してます。
(※パカ(色パカ) = 一瞬だけ色が現れて消えるような「色がパカパカ切り替わって見える」状態の事。大体において、ミスに見えるのでリテイクの対象となる)
―― ザムドでお気に入りのエピソードなどあったりしますか?
梅崎 後半22話から26話までは見所ばかりでどの話数も好きです。24話のミドリちゃんの話や、23話の伊舟と雷魚、22話でのリュウゾウと垣巣の一騎打ちの話もよかったですね。
―― 尖端島の物語のクライマックスですからね。
梅崎 その前のリュウゾウとフサの○○シーンは見ていてかなり恥ずかしくなっちゃいましたが(笑)あんまり自分のやっている作品でああいうシーンが出ることは無いので(笑)後好きなエピソードは、そうですね・・・・・・アキユキとハルとフルイチの三人のエピソードだと1話と14話になっちゃいますね。切ないですが・・・・・・。アキユキとハルだけだと、19話の再会シーンですね。
―― 途中、アキユキが成長して衣装も変わるんですけど。
梅崎 王子ですね(笑)
―― そうそう(笑)その王子の色はどういう風に決められたんですか?
梅崎 最初設定を貰った瞬間に「あ、かっこいい!」ってトキメいちゃったんで、「これはやっぱり王子だよなー。王子といえば白だよなー」と思って(笑)
―― 色と言うのは目立ちすぎてもいけないので大変ですよね。
梅崎 そうですねー・・・・・・アニメにおいては、作画に合っていて、見ている最中に色を気にしない作品が一番です。それだけ世界観にマッチしていて自然だと言うことですから。
―― 初見でまず一番目に飛び込んでくる情報量っていうのは、色ですからね。
梅崎 ぱっと見た瞬間に「なんか違うなー」と思われたら怖いじゃないですか。メインスタッフチェックの時なども、初見の瞬間にパッと表情が明るくなると「あー、良かった」ってほっとしますね(笑)
―― 他に、色彩設計として大変な部分と言うと何がありますか?
梅崎 最初、企画書を拝見したり監督さんのお話お伺っていたりする時は凄くワクワクして楽しいんですけど、いざ実作業に入った時にその後希望に添えるのかどうか、作品を上手く表現できるのかと言うことを考え出すと、凄く大変な気分になります(笑)色で駄目にしたら最悪ですから。
―― 今後、梅崎さんがアニメのご作業をされていくうえでの意気込みなどがあれば。
梅崎 いただけるお仕事があればいくらでも頑張ります。持っている限りの100%は出しますが、未熟さは許してください(笑)もっと自分の出来る事、作れる色の幅を増やしたいので、自分にとってハードルの高い作品をやりたいですね。いつも代わり映えのしないことをやっていても成長が無いので、よりハードルの高い作品を超えていけば、経験値は上がり、成長できますから。そう言う意味で、ザムドと言う大きな壁を越えられたのは自分でもレベルアップできたのではないかと思いますので、また、機会があればハードルの高い作品に挑戦したいです。
―― カッコ良いです!・・・良い作品の影には良い色有り、と言うことで。
梅崎 そうなるように頑張ります!
2009/06/05 ボンズBスタジオ会議室にて
2009年06月11日
サウンドトラックも発売になります!
アニプレックス制作担当よどです。
先日のBlu-rayとDVD情報に引き続き、
サウンドトラックの情報を皆様にお届けします。
ザムドの本編中で流れている音楽は、
「ごくせん」や「天地人」でお馴染みの
大島ミチルさんが作曲をしてくださっています。
昨年の3月、春の足音が聞こえるパリで
レコーディングをしてきました。
宮地監督も立会いの下、
素晴らしいセッションが行われました。
そして、つい先日CD化にあたり
マスタリング作業を都内で行いました。
このサウンドトラックもBlu-rayとDVDが発売される
7月22日に発売いたします。
曲タイトルは宮地監督によるものです。
ブックレットにはザムドにちなんだ
宮地監督と大島さんの往復書簡、
監督による楽曲解説が収録され、
全60曲、2枚組みと盛りだくさんです。
ぜひ楽しみにしていてください。
2009年06月10日
亡念のザムド Blu-rayとDVDが発売になります!
アニプレックス制作担当よどです。
アフレコレポート以来、すっかり御無沙汰しておりましたが
現在絶賛パッケージの第1巻を制作中です。
そんな中5月某日、宮地監督、アニメーションディレクターの奥村さん、
キャラクターデザインの倉島さん、ザムド・メカニックデザインの橋本さんに
お集まりいただきまして、1巻のオーディオコメンタリー収録を行いました。
1話目は最初の収録ということもあり、
すこし固い雰囲気の皆さんでしたが、
徐々に空気も温まり、遂には橋本さんのあだ名の
由来まで明らかになる・・・という
制作秘話満載のオーディオコメンタリーが出来ました。
これはBlu-ray,DVD共に収録されますので
楽しみにしていてください。
また、完全生産限定盤のBlu-rayには
収録されているお話の絵コンテが完全収録されます。
読み応えのある絵コンテ、
ザムドの誇る映像の美しさをぜひ堪能してください。
7月22日の発売をお待ちください。
2008年10月23日
【亡念のザムド】スタッフインタビュー05
こんばんは、ボンズ制作のカサオカです。
亡念のザムドの配信もいよいよ中盤に差し掛かり、物語も盛り上がってまいりました。
11話以降も驚きの展開が続きますので、ご期待してお待ち下さい。
さて本日は、スタッフインタビュー第五弾としまして、演出の野村さんのインタビューをお届けいたします。
制作進行としてご一緒にお仕事させて頂いた、OPのお話を中心に伺いました。
野村さんの人柄が表れているインタビューになっていると思いますので、どうぞご覧下さいませ。
【亡念のザムド】スタッフインタビュー05
演出:野村和也
―― さて、演出の野村さんにお話をお伺いしようと思うんですけれども
野村 どうもどうも。
―― ザムド、やってみて今の所どうですか?
野村 いや、大変・・・・・・だけど、面白いと思いますよ、今のところ(笑)
―― どんな所が面白いですか?
野村 ドラマがしっかりしている所だとは思うんですよね。お話とか設定とかバックグラウンドとかは、どんな作品でもしっかり作っているとは思うんですけれど。見せ方とか設定とか、ネタとか、一手間加えている感じがあるというか。奥村さんのこだわりもあるだろうし、ザムドのメインスタッフ、監督の宮地さんとか、倉島さんとか橋本さんとかの色々なこだわりが集まった結果だと思います。普通に背景の山とか言っても形が面白かったりとか、普通の町並みも、置いてある小物とかまで、きっとこの世界ではこういうものを使っているんだろう、と言う感じで。イメージボードでも面白く描いてあったりして、こだわりの表れなんじゃないかなと。
―― 野村さんには、各話演出以外としましてはオープニングの演出もやっていただいたんですけれども、完成したオープニングを見ていかがですか?
野村 そうですね、ちょっと鳥肌が立つ感じはありますね(笑)実際オープニングはどの作品もそうだと思うんですけど、皆であの時間無い中でガーっと作ったものが配信されて、PS3で、なんつーんですっけ、ハイデフ?(笑)ハイデフだっけ、よくわかんないですけど(笑)
―― HD(ハイデフィニション)ですね
野村 そう、HDで映し出されるのを見ると、感慨深いものがあるというか(笑)
―― オープニング、苦労された点とかありますか?
野村 苦労したのは・・・・・・まずド頭に曲が難しいと言う事!曲のテンポが・・・・・・曲自体がすごくカッコいいじゃないですか、アップテンポで。普通の曲よりもリズムが・・・リズムなのかな?いや、音楽あんまり詳しくないんですけど(笑)音の数が多い分だけ、普通にその音のタイミングでカットを割っていくと、エラい数になっちゃう。だから、そこをどうやって見せるかと言うのは、コンテのアイデア打ち合わせの際に、最初に曲を聞いて絶対に難しいと思って。
実際ネタ出しの時も、オープニングって大体やる事が決まってるじゃないですか。何回もオープニングが変わると言う訳でも無いので。とりあえずキャラクターを見せないといけないと言うのはあるし、あの曲であるからにはそれなりにカッコいいテイストも入れないといけないし、とか。どうやってキャラクターを出して行きつつ、ザムドっていう世界を端的に表すかって考えると、ネタ出しに随分と苦労したと思いますね。
実際にコンテを描いたのは宮地さんですけど、最初にラフコンテをもらった時は、「うわぁ凄い良くまとめられるなぁ」と思って。アイデア出しで自分もちょっとは協力できたかなと言うのは幾つかありますけど、カット数的にもそんなに多くはないし、よくまとめられるなぁと言うのは素直に感心しましたね。後はやって頂いたスタッフの方々に、感謝感謝(笑)
―― オープニングの見所はどこですか?
野村 見所ですかぁ・・・・・・そうですねぇ・・・・・・やっぱり一番カッコいいなぁと思う一連の流れは、あの、橋本さんのカットから・・・
―― 雷魚?(笑)
野村 雷魚(笑)雷魚がゆっくりと振り返ってカメラを構えるって言う、橋本さんのカットから原画担当の板津さんのカットに繋がる所。曲のタイミングと合わさって、何回見てもカッコ良いなと素直に思いますね。橋本さんの作画も凄かったですけど、やっぱり板津さんのあの雷魚の動きと倉島さんの修正。他の方もスキルのある方ばかりですが、あそこは群を抜いてカッコいいんじゃないですかね。
―― 後は、背動のカットとか?
野村 アレは物量が凄かったですね(笑)後はそうだなぁ、カット30?(アキユキの走りからザムドに変身するカット)あれは笠岡さんにも手伝って貰ったけど(笑)
―― スピード計算頑張りましたからね(笑)
野村 あらかじめ謝っておきますけど、あれは俺が引き速度を間違えました(笑)各所にお手数を頂いて、一番最後まで撮影さんにも粘って貰ったのはあのカットでしたね。背動カットの方は、作業的にはぶっちゃけ一発OKに近いので。
―― 確かに、各所各所できっちりチェックして進めて行ったので、作業的には一本の流れで綺麗に収まりましたよね。
野村 そうそう、リテイク回数も殆ど無かったですし。まぁ、オープニングに関しては、やれるだけやれたかなぁと思いますね。
―― 先ほど少し音楽のお話が出ましたけれど、野村さんご自身がいつも聞かれる音楽ってどういう音楽なんですか?
野村 えぇ!?僕??・・・・・・えっと、僕ゲーム大好きなんですよ。
―― 俺もです(笑)
野村 だから、ゲームの音楽だったりとか、ゲームの音を加工したものだったりとかは良く聞きますけど。後は普通にロックとか好きで良く聞きます。他は・・・・・・女性のボーカルを聞くのが僕は好きなんですよ。
―― 世の中の半分の音楽が該当しますよ、それ(笑)
野村 まぁそうなんですけど、自分の携帯音楽プレイヤーに入っている楽曲の割合は、女性ボーカルの方が多いですね。結構静かな感じの曲が多いかもしれませんね。一回、知り合いの子に「俺いつもこんなの聞いてるんだ」って聞かせた時には、「こんな地味なの聞いてんだ」って言われて。ちょっとショックだった事があるんですけど(笑)
―― アップテンポなものよりも、スローな感じの曲が好きだと
野村 そうですね。詳しい人はめちゃくちゃ詳しいとは思うんですけど、僕はどこかで聞いて良いな、と思ったものを聞いているだけなんで。
―― じゃぁ、ザムドの楽曲はどうですか?
野村 大島ミチルさん!僕は、ICOって言うゲームが大好きで、そのゲームの音楽が大島さんだったので。CDも買っていつもプレイヤーに入れて聞いてるんですけど(笑)
―― ICOは良いゲームでしたね
野村 そうそう、あれ凄く面白かったよね。だから、大島さんって最初聞いたときに、あぁ良いなぁと。ザムドの曲は、ビジュアルイメージを素直に拾っていただいてる感じですよね。なんか、ヨーロピアンな感じじゃないですよね。アジア、中近東な感じですね。そうですね、一度大島さんとはお話してみたいですね(笑)
―― あれ?打ち入りの時にいらっしゃってたのに
野村 忙しくていけなかったんだってば(笑)
―― ああ!そうでした、すいません(笑)
野村 それで、近所の蕎麦屋でふて腐れて独りで蕎麦焼酎飲んでたんですよ(笑)
―― ちょっと話を変えましょうか。アニメの演出って何をする仕事なんですかね?
野村 ええ~、僕まだ良くわかんないんですよねぇ。わかんないですけど、多分、道しるべですよね。暗闇の中の一条の光、みたいな(笑)
―― 分かる様で分かんないですね(笑)では演出として見て、ザムドの宮地監督ってどんな監督ですか?
野村 初対面の印象は、怖そうな人だなぁと思って。すぐ手が飛んできそうな。ビビりながらお話をしたんですけれども。今はちょっと違いますね。宮地さん、結構繊細な方だと思うんですよ。回りにはきっちり気を使っている人だと思っているんですけど。監督としては正しい事をしているかただと思います。ご自分が原作に関わっている部分も有り、ご自身の初監督作品でもある訳なんで、こだわりは普通持ってるもんなんでしょうけど。さっき言ったみたいに、監督の思いが全ての話数に行き渡っていると言うか。凄く細かく全ての話数をチェックされるじゃないですか、宮地さんって。それはやっぱり凄い事だと思うんですよね。凄く忙しい中で、全部のカット・・・全部じゃないにしろ、要所要所の全てのカットを見ている訳じゃないですか。細かい演出指示であったりとか、フレームの寄り引きとか。僕は実はシリーズ(物)の仕事ってあんまりやってないんですけど、宮地さんの場合はやってる事に一本筋が通っている。テレビシリーズとか、普通長いとバラついたりするんですが、そう言うブレがない。だから、きっと良い監督なんじゃないかなって思うんです。
―― 野村さんは、ご自身が監督になられた場合に、どんな作品が作りたいですか?
野村 まだ良くわかんないです。まだ降りてきてくれないんで(笑)漠然とはあるんですけど、まだ言葉にして出せるところまでは来てない、とても曖昧なものです(笑)でもまぁ、一本筋の通った作品が出来れば良いなぁと思いますけどね。うーん・・・・・・・・・ちっちゃいけれどおっきい、みたいな物が好きですね(笑)
―― うわー、難しい事言った(笑)
野村 そうとしか言えないんですよね(笑)
―― (笑)では、最後にザムドをご覧になるお客様に一言お願いします。
野村 皆、寝ないで頑張ってるんで(笑)見てもらえると嬉しいなぁって言うのと、やっぱり通して見る事によって、きっとその時間は無駄には終わらないんじゃないかなぁって思うんですよね。それは作業している側もそうだし、ご覧になってくださったお客さんも、通して見る事で、「ザムドってこういうお話だったよね」って言う以上の、色んな思いとか、得るものがあると思うんですよ。そう言う作品だと思ってるんで。なので、最後まで見ていただけると嬉しいなぁ、と思います。
―― 以上、演出の野村和也さんでした。お疲れ様でした!
*ちなみに、野村さんにはOPの演出の他に、11話の演出、20話の絵コンテ・演出・作画監督・25話の絵コンテ、26話の演出もご担当頂いています。
2008年10月07日
【亡念のザムド】スタッフインタビュー04
こんばんは、ボンズ制作のカサオカです。
亡念のザムドもいよいよ配信が始まりましたが、ご覧頂けましたでしょうか?
これを機に、こちらのサイトも更新頻度を増やしていければと思います。
それでは本日は、監督助手の徳土大介さんのインタビューをお届け致します。
【亡念のザムド】スタッフインタビュー04
監督助手/演出:徳土大介
―― まずは、ここまでザムドを作ってこられてどうですか?
徳土 そうですねぇ・・・・・・大変だったなぁと言うのがまずありますよね(笑)
―― (笑)まだ、これからも大変なのは続く訳ですけれども。
徳土 信じられない感じですね(笑)
―― ここからがラストスパートですよ。
徳土 皆さん頑張ってらっしゃるんで、僕も頑張らないと、と言う感じなんですが。僕なんか全然ダメなんで、もっと色々とお手伝い出来ればなぁと思うんですけれども。自分のことで精一杯って感じで・・・・・・
―― 徳土さんは各話演出などもして頂いているんですが、それとは別に監督助手の方もしていただいてます。この、監督助手と言うのは何をする役職なんでしょうか?
徳土 そうですね、僕もはっきりとは分からないんですけれども(笑)とりあえず僕が今までやってきたのは、監督がカットをチェックする前に、監督が見やすくなるように全て一度整理する、みたいな役目かなぁと思ってます。記載事項とか抜けているのを整えて、監督がカットで必要な事だけを見れるように。演出助手のような仕事を監督がやりだすと、それは監督チェックじゃなくなっちゃうんで・・・・・・。監督が見るべきことを見れるようにするために、演出さんの記載漏れとかそう言うものを出来る限り補完していくという感じかなぁとは思います。
―― 徳土さんはザムドで監督助手をされる前はガイナックスで制作進行をされてたんですよね。
徳土 そうですね。
―― どんな作品をされてたんですか?
徳土 グレンラガンは一応初めから・・・と言う程、初めからでもないんですけど、一話が回り出すぐらいからは携わっていましたね。グレンラガンは一応ずっとやってたかなぁと思います。制作としてはあまり出来た制作ではなかったですけど(笑)
―― 他作品で制作をされていた立場で見た場合、ザムドは他の作品と違ったどんな特色がありますか?
徳土 グレンラガンもそうなんですが、たくさんの人がチェックしてくれて、作品の統一を画、話の両面でコントロールしようとしている所でしょうか。どの会社、どの作品でも良いものは全てそうなのかもしれませんが。
―― 確かにそうかもしれませんね。演出から始まって、監督助手、監督、作画監督、総作画監督・・・・・・
徳土 それだけの厳重で丁寧なチェック機構を設けると言うのは凄い。監督が全てのレイアウトをチェックしているというのも凄いですよね。
―― 現在第四話まで配信されている訳ですが、第四話までで演出としてこういう所に注目して見ると面白い、というのはありますか?
徳土 話数によって見所が色々と代わってくるというのが面白いのかもしれません。一話と二話は特殊で両方併せてワンセットと言う感じなんですが、丁寧な日常芝居と派手なアクションで、日常と非日常が反転する所とかが面白いですね。三話はAパートで日常芝居を描いてBパートでアクション、と言う有る意味スタンダードなパターンになっていて安定感があります。四話になると、天心様のシーンの繰り返しなんかがあったりして、それまでとは違うパターンを見せている。同じパターンで何度も何度も繰り返すというのではなくて、話数によって見せ方が変わって行っているというのが面白いです。
―― 宮地監督の中にも、そう言う色んなパターンを入れ込んでいくという計算は有るんでしょうか?
徳土 そうですね・・・・・・かなり気を使ってらっしゃるんじゃないかと思うんですけどね。三話みたいなパターンをずっと続けているとお客さんも飽きてくるんじゃないかと。そう言う意味で。どこまでお客さんを楽しませるかというのが、宮地さんの凄さなんじゃないですかね。同じことの繰り返しではなく、いかにして面白く見せていくかって言うのを、ずっと考えている気はしますね。
―― ザムドで一番好きなキャラクターは誰ですか?
徳土 僕は汗馬が一番好きですね(笑)
―― (笑)珍しいですね。確かに良いキャラクターですが。
徳土 最高ですね(笑)
―― 最初の間はシナリオ打ち合わせにもご参加いただいてましたよね
徳土 そうですね、忙しくなるまでは。
―― 宮地監督のシナリオに関する取り組みと言うのは、ご覧になっていて如何でしたか?
徳土 いや、凄かったですね。映画とか演劇に対する知識も膨大で、こんなにも綿密に組み立てていくのか、と。初めに立ち合わせていただいた時は驚きましたね。話されている内容も凄くハイレベルで、これは凄い所に来てしまったな、と(笑)それでいて、いかにして面白く見せるか、と言う事にも十分気をつけている。毎回、面白いなぁと思って、半分読者の気分になってましたね(笑)
―― 現在配信中の話数としては、第四話が徳土さんの担当話数ですけれども、ここが注目点、と言うのはありますか?
徳土 4話か・・・・・・・・4話は天心様ですかね(笑)奥村さんの仕事がとにかく凄かった感じです。後は、冒頭の戦闘シーン、初めてASPスーツが出て来るところですね。アクションが言うまでも無くカッコイイので、見所だと思います。
―― では、最後にザムドをご覧頂いている視聴者の方に何かメッセージをお願いします
徳土 監督が台詞や表情、動きにこめた感情やテーマのようなものを注意して見ていただけると、作品の本当の良さの様な物がジワっと見えてくるのかな、と思います。何回見ても新しい発見が有ると思いますし、どんどん面白くなってくると思います。
―― ありがとうございます。以上、監督助手の徳土大介さんでした。
2008年06月07日
【亡念のザムド】スタッフインタビュー03
こんばんは、ボンズ制作のカサオカです。
レギュラーコーナーとなりつつある、スタッフインタビューその3をお届けいたします。
今回は、編集をご担当下さっている、JAY FILMの坂本久美子さんです。
アニメの編集とはどう言うものなのか中々分からないものですが、その辺りの事を中心にお話を伺いました。
【亡念のザムド】スタッフインタビュー03
編集:坂本久美子
:イラスト 宮地昌幸
―― すでに数話分の編集作業を終えられているのですが、ご感想はいかがですか?
坂本 いやぁ、私は一言で言って単純に面白いですけど。・・・・・・はい、面白いです。
―― どの辺りが面白いですか?
坂本 なんだろう・・・・・・。世界観とかも私好きで・・・・・・宮地さんが持っているもの、好きなものがムチャクチャ反映されてると思うんですけど。その面白みもあるし、登場人物も皆魅力的だし・・・・・・なんて言ったら良いんですかね・・・・・・
―― なんか今、物凄く言葉を選ばれてますね(笑)
坂本 ええ、それはもう・・・・・・
―― では、質問変えましょうか
坂本 はい
―― 宮地さんどんな監督ですか?
坂本 えー、宮地さんですか?宮地さん、面白いですよねー。
宮地さんは、今まで自分がやらせていただいてきた監督さんの中でも、良い意味で面白い部類に入る感じ(笑)
―― いや、面白いって色々ありますよね?(笑)
坂本 ありますあります。あの、そもそも一番最初にお仕事した時って、私は助手で、宮地さんも一演出としてって言う感じだったんですけど。
―― ご一緒された最初の作品を教えてください。
坂本 多分一番最初にお会いしてお仕事したのは、キングゲイナーで・・・・・・その後が絢爛(*1)になるんですけど。キングゲイナーの二話が宮地さんの担当話数で、その時お会いしたのが最初ですね。
キングゲイナーって、次回予告を担当の演出さんと私で作ってたんですよね。私にとっても凄く良い機会だったし、直接演出さんと仕事できるとかって、助手の時にはあまりないじゃないですか。宮地さんもよくおっしゃってくれるんですが、私もそれがすごく楽しくて。また、多分エディターじゃなくて私がやることで、演出さんも色々試したりできたのかなあなんて、今は思いますけど。宮地さんとも、「これだ!!」って言いながらやってた気がします。楽しみながらやらせてもらったなぁ、っていうのがずっとあって・・・・・・
*1 絢爛 = 絢爛舞踏祭。2004年放送のテレビアニメ
―― それが宮地さんとの出会いであると
坂本 そうですねー。
―― 結局、何がどう面白いのかって言うのが出てないですが(笑)
坂本 ああ、そっか。
人としては、あんまり臆さない印象があって。物事をはっきり言うし。凄くパワフルだけど、でも多分繊細でもあって、そういうとこが面白いなあと思います。
後は、センスが独特なところというか。
―― 独特ですね
坂本 独特ですよねぇ?それが上手く口で説明できないんですけど。
―― 確かに、映像を見ていただかないと言葉では上手く伝えられない所はありますよね
坂本 台詞選びとか・・・・・・
―― 間の取り方とか
坂本 そうなんだよね。作品に流れる不可思議な空気とか。ほんと口で上手く説明できないのが悔しいんですけど。それが上手くフィルムに表れてたらいいなぁ、と思って。
台詞とかも凄く好きで、毎話数毎話数好きなシーンとかたくさんあって、私はシナリオとか頂かないから読まないけど、コンテとか最初に頂いて見るじゃないですか。字面と絵面で見て、「あぁ面白いなぁ」と思っていて、実際頂いたフィルムを流して観て、「あぁなるほど、こうなってきたんだ。面白いな」とまた思ったりして。で、一緒に手を加えていって、更にその面白さが増したら嬉しいな、って感じですよね。
実際一緒にやってみて、やっぱり、宮地さんのこうしたい!っていうのが凄く良く分かるなあと思いました。それも面白かったです。なんか話が逸れちゃいましたけど・・・・・・
―― そもそも、アニメの編集さんってどんな事をするお仕事ですか?
坂本 私も、自分の会社とか自分の周りの方のやり方しか見たことがないので、こういうものだって断言できる物じゃないのかもしれないんですけど。
簡単に言えば、上がってきた線撮りや本撮といった声の入る前のフィルムを見て、台詞や間やアクションを繋いだり詰めたりして流れを作って、尚且つテレビシリーズだったら、定尺に収めるっていう作業です。でも、決まった尺の中でただ切るだけじゃなくって、もうちょっと伸ばした方がいいなって所は提案させてもらいます。
演出面に関しては、基本的には演出さんや監督さんがメインにやる部分だと思ってるんですけど、なんだろな、客観的に作品の事を見られるのは編集だと思うんですよ。フィルムを一番最初に見れるわけだから、一番最初のお客さんみたいな。だから率直な感想とかを言えると思うんですよね、このカットもっと見たいです、とか。
意見を交わす中で新しい発見があったりもするし、それでもっと作品が面白くなったらそんな嬉しい事はないと思うから、そういうことをする場が編集なのかなあと思います。
―― ・・・・・・コメントが硬いですね(笑)
坂本 そりゃ硬いよ!(笑)
―― いやぁ、凄い考えてコメントされてるなぁ、と思って聞いてました。
坂本 考えてるよぉ!
―― それなので、余計な茶々入れられない感じで(笑)
坂本 いやいやいや、入れてもらっていいのに(笑)
―― それが編集の仕事である、と
坂本 そうだねー。もしかしたらアニメーションの編集は、言われた通りに切ったりとか伸ばしたりとかするだけで成り立つのかも知れないんですけど、演出さんとか監督さんが「コレで良いんだ!」って思っているものを、客観的に見て判断する人は必要だと思うんですよ。
もちろん作品の世界観であるとか、演出さんや作画さんが芝居を付けてくれて出てきたフィルムの長所を殺すのは良くないと思うんですけど。でも、「凄く良いもの作ってきました。コレ全部使ってよ、凄く面白いよ」って渡されたフィルムが、ホントは20分というフォーマットが決まっている作品なのに23分あったとしますよね。3分どうしても切らなきゃいけないって時に、やっぱり実際作ってる人って客観的に見れないこともあると思うんですよね。
アニメだけじゃなくて実写もそうだと思うんですけど。必要だと思うから撮ってるわけだし、「これ撮るの大変だったなあ」と思うとまた切れなかったり。
―― それを客観的な視線で調整する役目の人が必要であると
坂本 そうですね。整理するというか。
―― それが、編集さんであると
坂本 と、思いますけどね。
―― 坂本さん、アニメの他に実写の編集もされることはありますか?
坂本 実写は、劇場作品とかはやってないんですけど、テレビは何本かやらせていただいて・・・・・・
―― アニメと実写の違いってありますか?
坂本 一番大きな違いは、実写の場合は素材があること。声も動きもある画が目の前にあって、且つそれを選ぶことができるんです。だけど、アニメの場合はその為にカットを「描く」から、基本的に余計なもの(テイク違いやNGカット)がない。最初からカット割りは決まってるし、1カットに使う尺って言うのもおおよそ決まってる。だから、編集のバリエーションてほとんどない。でも実写だと、繋ぎ方が何通りもあるんです。どのカットをどれだけ使うか、人物をカットインするタイミングとか、色んなタイミングをこちらでも選べるんですよ。この良い顔をこっちでは使えなかったけど、ここで使えるとか。
選択肢が多い分、自分達が提案できる形が、実写の方が多いなあとは思いますけど。だからってアニメがつまらないとか言うのは全くなくって。
―― 逆に、実写よりもアニメのほうが面白いって言うのは、どこかありますか?
坂本 想像できるのは楽しいですね。動きや芝居を想像するの。大抵アニメーションは編集の後に声を入れて頂く事が多いので、セリフや音が入ったものを観て、良い意味で裏切られたりするのもすごく楽しみなんですけど。
―― アニメの場合は、自分の作ったフィルムの間に合わせて芝居が入ったり音が入ったりと言う先行作業であると
坂本 そうですね。なので、そういう意味ではカットは選べないけど、決まった割りや有るものの中で、どれだけ面白くできるかっていうところが面白いなって思う部分もありますけど。
―― なるほど。ちょっと、軽めの質問をよろしいですか?ザムドのキャラでお気に入りは?
坂本 私みんな好きなんですけど・・・・・・
―― 駄目ですよ、一人選んでくださいね(笑)
坂本 なんだろう、今の所は伊舟かなぁ。
―― どんなところが好きですか?
坂本 いやぁ、多分、格好良い同性だからかな。同世代とまでは言いませんけど、リアルな感じで。
―― 伊舟の方が、何歳か年上だと思いますよ
坂本 ほんと!?
―― 確か、○○歳・・・・・・
坂本 そんな上なの!?
―― ですよ。でもまぁ、この辺りの話はカットしときましょう(笑)
坂本 そうですね(笑)
(しばし年齢の話が続く)
坂本 私、伊舟とユンボの喧嘩の所とか、凄い好きなんですよね。伊舟の台詞とかも好きです。男前だし、けど女らしさもあるし。同性の目から見ても、良いキャラですよね。あと、実は垣巣も好きなんですけど。
(色々裏話をはさんで・・・・・・)
―― ・・・そろそろ締めましょうか。編集さんの立場で、ザムドのこういうところを見て欲しいって言うのはありますか?
坂本 そうですねぇ。私は・・・・・・。何か、いざ言われるとかしこまっちゃいますね(笑)
―― いや、ソフトにお願いします(笑)
坂本 もちろん全部見て欲しいです。んー、アクションとかだけじゃなくて、アクションも凄いカッコいいんですけど、敢えて芝居場の・・・・・・ごめん、上手く言えないなぁ。
―― いや、まだ何をおっしゃりたいのかが・・・(笑)
坂本 わかんないよね(笑)えー、ユーモア溢れる会話とか、テンポ、作品全体に漂う空気とか、私だけじゃなく宮地さんの間とか、そういうのを面白いなって思ってもらえれば。ドラマを見ているような気持ちにいつもなるので、そういう風に思ってもらえたら面白いんじゃないかなあ、と。独特な笑いのセンスをご堪能ください。
―― 有難う御座います。JAY-FILM編集の坂本さんでした。
坂本 うーー、ぜんぜん言えてなーい!
―― 言えてなかったっすね(笑)
2008/05/02 JAY FILMにて
2008年05月22日
【亡念のザムド】スタッフインタビュー02
こんばんは、ボンズ制作のカサオカです。
またしても更新が空いてしまいましたが、本日はスタッフインタビューその02としまして、主人公・竹原アキユキ役の阿部敦さんのFAXインタビューをお届け致します。
阿部様、お忙しい中ご協力頂きまして誠に有難う御座いました。
しかし、放映前の作品のインタビューと言うのは難しいですね・・・・・・
【亡念のザムド】スタッフインタビュー02
竹原アキユキ役:阿部敦
1.現段階での、亡念のザムドのご感想をお聞かせください。
いろいろな意味で予想を上回る出来でした。
単純に、自分の芝居に様々な効果音が入るのに感動したと言うのもありますが、特にBGMの入り方や綺麗さには良い意味で裏切られました。「あぁ、このシーンをこう表現したいのか!」と。
映像に関しても細かい所が動く動く!ぜひ皆様に見て欲しい作品に仕上がっています。
2.主人公、竹原アキユキはどんなキャラクターだと思いますか?
普通の少年かな(笑)
あの位の年頃にありがちな妙な自信を持ってたり、やたら親にぶっきらぼうだったり。
なんと言うか、非常にリアルな少年だと思います。
3.アキユキを演じられる上で心がけている事や意気込みなどがありましたらお聞かせください。
他のキャストの皆さんが凄い方ばかりなので、とにかく、ぶつかって行こうと言う感じですね。なかなか出来ない貴重な体験ですから!
アキユキは基本的に、事件に巻き込まれるキャラクターなので、一つ一つの出来事に素直に反応して演じる事を心がけています。
4.阿部さんとアキユキは似ていると思いますか?
うーん・・・・・・どうなんでしょうか。似てるような似てないような・・・・・・。
あー・・・・・・でも高校生くらいの時はあんな感じだったような・・・・・・。
・・・・・・ちょっと恥ずかしくなってきたので、これで終了します(笑)
5.ザムドでお気に入りのキャラクターはいますか?(アキユキ除く)またその理由は?
ロッパ!あのムチムチ感がたまりません!!実際に居たら、ずっと触っていると思います。そしてかまいすぎて嫌われそう(笑)
人間では、紅皮伊舟と垣巣凍二郎です。伊舟の威風堂々とした感じが、垣巣はたまに見せるヘタレ感が好きですね。
6.アフレコ現場の雰囲気はどんな感じですか?
雰囲気はスゴク良いですね。キャストの皆さんの中では僕が一番新人なのですが、皆さんが色々フォローしてくれるので楽しくやらせてもらっています。
7.ザムドの主役に抜擢されてどのような感想を持たれましたか?
一言で言うと「やったー!!」と言う感じでした。
声優としてやっていく上での野望の一つに「ボンズ作品で主役!」と言うのが有ったので「夢が一つかなったぞ!」と(笑)
でも作品のテーマや他のキャストの方などを知って、同じくらいプレッシャーを感じていった覚えがあります。
8.最も尊敬する役者さんはどなたですか?
うーん・・・・・・沢山いらっしゃるので難しいですねー・・・・・・
日本だと役所広司さん、吉田鋼太郎さん・・・・・・
海外だとアンソニー・ホプキンス、ジョニー・デップ、ロバート・レッドフォード・・・・・・
もちろん声優界にもいらっしゃいますが、居すぎて紙面が足りません(笑)
9.監督の宮地昌幸さんに対する感想をお聞かせください。
第一印象は「お茶目っぽいなぁ」と言う感じでした。
確か服装が少し面白かったので、そんな印象を受けた覚えがありますね。
その後、ダビング等に参加させてもらって、宮地監督の作品に対するイメージや思い入れを聞いて実は繊細な人なんだと。
監督!最終話まで一緒に頑張りましょう!!
10.ザムドをご覧になる視聴者の方に一言お願いします。
様々な年代の人が、様々な思いで観られる作品だと思います。そして、一人一人のキャラクターの心情の動きにも注目してもらえると面白いですね。
「亡念のザムド」、乞うご期待です!!
2008年04月29日
オープニング打ち合わせ
どうにも世の中的にはゴールデンウィークなるものに突入している模様ですが、そういった華やかなイベントには完全に背を向けて、連日、制作現場にいます、カサオカです。
さて、皆様、アニメーションの顔と言えばメインポスターであったり、タイトルロゴであったり様々ですが、今回は、アニメの顔の内の一つ、オープニングとエンディングの打ち合わせのお話です。
監督の宮地さん、アニメーションディレクターの奥村さん、監督補の徳土さん、演出の野村さん、4人でのイメージ出しです。
やたらとカッコいいテーマソングを延々とリピートしながら、あーでもない、こーでもないとイメージのすり合わせを延々と繰り返して、ゆっくりと構成を浮かび上がらせていきます。
ぼんやりとしたイメージを書き出す宮地監督
そもそものオープニングをどういうイメージにするのかというところから始まり、タイトルテロップをどこで出すのか、グラフィカルなショットと現実的なショットをどう入れ込んでいくのか、どのキャラを出すのか、どのタイミングで出すのか等々、打ち合わせは長時間続きます。
この日は構成を決めた所で終了となりましたが、大体の形は纏まってきたのではないでしょうか。後は、各シーンの詳細を詰めて、スポッティングに合わせてカット尺を決めてコンテを切って、作画さんを見つけ、作画し、色を塗り、背景を仕上げ、撮影すれば終わりです。
結果は、ザムドが始まったら、見てください。
2008年04月26日
【亡念のザムド】スタッフインタビュー01【後半】
こんばんは、ボンズ制作のカサオカです。
更新ペースが開いてしまいまして申し訳ありません。
亡念のザムド、スタッフインタビュー01の後半になります。
宜しくお願いいたします。
【亡念のザムド】スタッフインタビュー01【後半】
アニメーションディレクター:奥村正志
前半より続く
―― ザムドとはどういう作品だと思います?
奥村 僕の意見なんですけど、人間が普通に生きてるとして、みんな別々に、自分自身の力で生きているような感じで居るんですけど、本当は両親とか、その前で言うとお祖父ちゃんお祖母ちゃんとか、自分の周りの環境とか、そう言うものによって個人が形成されてると思うんです。
それをもっと長い目で見ると、長い歴史の時間軸の中に自分と言うものが居て、そんな自分は何をするために生まれてきたのか。神の視点ではなく主人公の感情をメインにして、ライブ的な感じで、「自分は何をするために生まれてきたのか」を物語に出来たらいいんじゃないかな。わかんないけど、僕はザムドとはそういうものを表現する作品だと思います。
―― では、そのザムドの表現とは?
奥村 元々は、自分の持っているアニメーションで作りたいものを、ビジュアルとして表現するつもり・・・・・・だったんだけど(笑)
―― 過去形っすか?(笑)
奥村 過去形(笑)でもまぁそれは作品を造る上で監督がまとめないといけないので、今は宮地さんが持っている面白味みたいなものを忠実に再現しようって言う気持ちなんですよね。
アニメーションの形態として主人公が化け物になってしまうって言うのが・・・・・・なんだろうねぇ、意外と難しい表現なんだよね。単純なヒーロー物としてそれを描いてしまうのか、単純なアクション物としてのバケモノヒーローを描くのか。そういう今までのやり方とは違う切り口でやったら、普通とは違う作品になるんじゃないかなって気はするんですよね。
んー、単純なアクション物だけと言う訳じゃなくて・・・・・・まぁ、アクションは一杯あるんですけど。
―― アクションはあくまでザムドの売りの一つ?
奥村 売りの内の一つにしたいんですけどね、今のところはまぁまぁできてるかな(笑)それよりも、全体を通して流れで見た時に一杯出てくるキャラクター達の持っている感情がどういう風に流れていって、最終的にどういう結論になるのかって言うのが、一番表現したい所だと思います。
―― ザムドの見所はどこだと思います?
奥村 宮地さんのユーモアセンス溢れる演出(笑)
僕がカッティング(*4)後とかアフレコ後とかのフィルムをみると、一番面白いのはそういう所なんです。自分の仕事で言うと、舞台骨を作る事なんで、そこにそんなに注目しなくてもいいかな(笑)
―― いや、そこはアピールしときましょうよ(笑)
奥村 見てて気持ちの良い風景とかね、そこに行ってみたいなと言う感じになる場所を作品に登場させようとは思ってます(笑)
―― 美術設定の発注の時でも、こういう場所に行ってみたいな、とかいう話は出てますよね
奥村 人間が居る感じって言うのはあるといいですよね。
―― 監督の演出と、世界観や空気感が奥村さん的に注目である、って感じですかね
うん、注目だと思います。
個人的には、今、若いアニメーターの方たちが一杯集まってきていて、そういう方の仕事が大変面白くて刺激になるんですよね。ベテランの方の原画も参考になるので、たくさんコピーをとらせていただきましたけど(笑)
*4:カッティング = オンライン編集の事
―― 視聴者(予定)の方に何か一言
奥村 自分達が面白いと思っていることを忠実に映像にしてみようと言う感じでやってます。自分達が信じているものを映像化していることは確かなので、それを見てどういう感想を持たれたか、ぜひ教えてください。
2008/04/16 ボンズBスタジオ会議室にて
イラスト:奥村正志
2008年04月23日
アフレコ現場よりこんにちは!
はじめまして。
ヨタ日記参戦!アニプレックス制作担当よどです。
今日はまだまだ謎に包まれているザムドのアフレコ現場をレポートします。
まだキャストが「未定」になっていますが、
アフレコは着々と進んでおります。
メンバーはとーーーーっても豪華で、かなり皆さんにお話したぃっっ!
5月のアニメ誌で発表になりますので
それまではこの微妙な写真で勘弁してくださいまし。
yody