2008年10月23日

【亡念のザムド】スタッフインタビュー05

こんばんは、ボンズ制作のカサオカです。
亡念のザムドの配信もいよいよ中盤に差し掛かり、物語も盛り上がってまいりました。
11話以降も驚きの展開が続きますので、ご期待してお待ち下さい。

さて本日は、スタッフインタビュー第五弾としまして、演出の野村さんのインタビューをお届けいたします。
制作進行としてご一緒にお仕事させて頂いた、OPのお話を中心に伺いました。
野村さんの人柄が表れているインタビューになっていると思いますので、どうぞご覧下さいませ。


【亡念のザムド】スタッフインタビュー05

演出:野村和也

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―― さて、演出の野村さんにお話をお伺いしようと思うんですけれども

野村 どうもどうも。

―― ザムド、やってみて今の所どうですか?

野村 いや、大変・・・・・・だけど、面白いと思いますよ、今のところ(笑)

―― どんな所が面白いですか?

野村 ドラマがしっかりしている所だとは思うんですよね。お話とか設定とかバックグラウンドとかは、どんな作品でもしっかり作っているとは思うんですけれど。見せ方とか設定とか、ネタとか、一手間加えている感じがあるというか。奥村さんのこだわりもあるだろうし、ザムドのメインスタッフ、監督の宮地さんとか、倉島さんとか橋本さんとかの色々なこだわりが集まった結果だと思います。普通に背景の山とか言っても形が面白かったりとか、普通の町並みも、置いてある小物とかまで、きっとこの世界ではこういうものを使っているんだろう、と言う感じで。イメージボードでも面白く描いてあったりして、こだわりの表れなんじゃないかなと。

―― 野村さんには、各話演出以外としましてはオープニングの演出もやっていただいたんですけれども、完成したオープニングを見ていかがですか?

野村 そうですね、ちょっと鳥肌が立つ感じはありますね(笑)実際オープニングはどの作品もそうだと思うんですけど、皆であの時間無い中でガーっと作ったものが配信されて、PS3で、なんつーんですっけ、ハイデフ?(笑)ハイデフだっけ、よくわかんないですけど(笑)

―― HD(ハイデフィニション)ですね

野村 そう、HDで映し出されるのを見ると、感慨深いものがあるというか(笑)

―― オープニング、苦労された点とかありますか?

野村 苦労したのは・・・・・・まずド頭に曲が難しいと言う事!曲のテンポが・・・・・・曲自体がすごくカッコいいじゃないですか、アップテンポで。普通の曲よりもリズムが・・・リズムなのかな?いや、音楽あんまり詳しくないんですけど(笑)音の数が多い分だけ、普通にその音のタイミングでカットを割っていくと、エラい数になっちゃう。だから、そこをどうやって見せるかと言うのは、コンテのアイデア打ち合わせの際に、最初に曲を聞いて絶対に難しいと思って。
実際ネタ出しの時も、オープニングって大体やる事が決まってるじゃないですか。何回もオープニングが変わると言う訳でも無いので。とりあえずキャラクターを見せないといけないと言うのはあるし、あの曲であるからにはそれなりにカッコいいテイストも入れないといけないし、とか。どうやってキャラクターを出して行きつつ、ザムドっていう世界を端的に表すかって考えると、ネタ出しに随分と苦労したと思いますね。
実際にコンテを描いたのは宮地さんですけど、最初にラフコンテをもらった時は、「うわぁ凄い良くまとめられるなぁ」と思って。アイデア出しで自分もちょっとは協力できたかなと言うのは幾つかありますけど、カット数的にもそんなに多くはないし、よくまとめられるなぁと言うのは素直に感心しましたね。後はやって頂いたスタッフの方々に、感謝感謝(笑)

―― オープニングの見所はどこですか?

野村 見所ですかぁ・・・・・・そうですねぇ・・・・・・やっぱり一番カッコいいなぁと思う一連の流れは、あの、橋本さんのカットから・・・

―― 雷魚?(笑)

野村 雷魚(笑)雷魚がゆっくりと振り返ってカメラを構えるって言う、橋本さんのカットから原画担当の板津さんのカットに繋がる所。曲のタイミングと合わさって、何回見てもカッコ良いなと素直に思いますね。橋本さんの作画も凄かったですけど、やっぱり板津さんのあの雷魚の動きと倉島さんの修正。他の方もスキルのある方ばかりですが、あそこは群を抜いてカッコいいんじゃないですかね。

―― 後は、背動のカットとか?

野村 アレは物量が凄かったですね(笑)後はそうだなぁ、カット30?(アキユキの走りからザムドに変身するカット)あれは笠岡さんにも手伝って貰ったけど(笑)

―― スピード計算頑張りましたからね(笑)

野村 あらかじめ謝っておきますけど、あれは俺が引き速度を間違えました(笑)各所にお手数を頂いて、一番最後まで撮影さんにも粘って貰ったのはあのカットでしたね。背動カットの方は、作業的にはぶっちゃけ一発OKに近いので。

―― 確かに、各所各所できっちりチェックして進めて行ったので、作業的には一本の流れで綺麗に収まりましたよね。

野村 そうそう、リテイク回数も殆ど無かったですし。まぁ、オープニングに関しては、やれるだけやれたかなぁと思いますね。

―― 先ほど少し音楽のお話が出ましたけれど、野村さんご自身がいつも聞かれる音楽ってどういう音楽なんですか?

野村 えぇ!?僕??・・・・・・えっと、僕ゲーム大好きなんですよ。

―― 俺もです(笑)

野村 だから、ゲームの音楽だったりとか、ゲームの音を加工したものだったりとかは良く聞きますけど。後は普通にロックとか好きで良く聞きます。他は・・・・・・女性のボーカルを聞くのが僕は好きなんですよ。

―― 世の中の半分の音楽が該当しますよ、それ(笑)

野村 まぁそうなんですけど、自分の携帯音楽プレイヤーに入っている楽曲の割合は、女性ボーカルの方が多いですね。結構静かな感じの曲が多いかもしれませんね。一回、知り合いの子に「俺いつもこんなの聞いてるんだ」って聞かせた時には、「こんな地味なの聞いてんだ」って言われて。ちょっとショックだった事があるんですけど(笑)

―― アップテンポなものよりも、スローな感じの曲が好きだと

野村 そうですね。詳しい人はめちゃくちゃ詳しいとは思うんですけど、僕はどこかで聞いて良いな、と思ったものを聞いているだけなんで。

―― じゃぁ、ザムドの楽曲はどうですか?

野村 大島ミチルさん!僕は、ICOって言うゲームが大好きで、そのゲームの音楽が大島さんだったので。CDも買っていつもプレイヤーに入れて聞いてるんですけど(笑)

―― ICOは良いゲームでしたね

野村 そうそう、あれ凄く面白かったよね。だから、大島さんって最初聞いたときに、あぁ良いなぁと。ザムドの曲は、ビジュアルイメージを素直に拾っていただいてる感じですよね。なんか、ヨーロピアンな感じじゃないですよね。アジア、中近東な感じですね。そうですね、一度大島さんとはお話してみたいですね(笑)

―― あれ?打ち入りの時にいらっしゃってたのに

野村 忙しくていけなかったんだってば(笑)

―― ああ!そうでした、すいません(笑)

野村 それで、近所の蕎麦屋でふて腐れて独りで蕎麦焼酎飲んでたんですよ(笑)

―― ちょっと話を変えましょうか。アニメの演出って何をする仕事なんですかね?

野村 ええ~、僕まだ良くわかんないんですよねぇ。わかんないですけど、多分、道しるべですよね。暗闇の中の一条の光、みたいな(笑)

―― 分かる様で分かんないですね(笑)では演出として見て、ザムドの宮地監督ってどんな監督ですか?

野村 初対面の印象は、怖そうな人だなぁと思って。すぐ手が飛んできそうな。ビビりながらお話をしたんですけれども。今はちょっと違いますね。宮地さん、結構繊細な方だと思うんですよ。回りにはきっちり気を使っている人だと思っているんですけど。監督としては正しい事をしているかただと思います。ご自分が原作に関わっている部分も有り、ご自身の初監督作品でもある訳なんで、こだわりは普通持ってるもんなんでしょうけど。さっき言ったみたいに、監督の思いが全ての話数に行き渡っていると言うか。凄く細かく全ての話数をチェックされるじゃないですか、宮地さんって。それはやっぱり凄い事だと思うんですよね。凄く忙しい中で、全部のカット・・・全部じゃないにしろ、要所要所の全てのカットを見ている訳じゃないですか。細かい演出指示であったりとか、フレームの寄り引きとか。僕は実はシリーズ(物)の仕事ってあんまりやってないんですけど、宮地さんの場合はやってる事に一本筋が通っている。テレビシリーズとか、普通長いとバラついたりするんですが、そう言うブレがない。だから、きっと良い監督なんじゃないかなって思うんです。

―― 野村さんは、ご自身が監督になられた場合に、どんな作品が作りたいですか?

野村 まだ良くわかんないです。まだ降りてきてくれないんで(笑)漠然とはあるんですけど、まだ言葉にして出せるところまでは来てない、とても曖昧なものです(笑)でもまぁ、一本筋の通った作品が出来れば良いなぁと思いますけどね。うーん・・・・・・・・・ちっちゃいけれどおっきい、みたいな物が好きですね(笑)

―― うわー、難しい事言った(笑)

野村 そうとしか言えないんですよね(笑)

―― (笑)では、最後にザムドをご覧になるお客様に一言お願いします。

野村 皆、寝ないで頑張ってるんで(笑)見てもらえると嬉しいなぁって言うのと、やっぱり通して見る事によって、きっとその時間は無駄には終わらないんじゃないかなぁって思うんですよね。それは作業している側もそうだし、ご覧になってくださったお客さんも、通して見る事で、「ザムドってこういうお話だったよね」って言う以上の、色んな思いとか、得るものがあると思うんですよ。そう言う作品だと思ってるんで。なので、最後まで見ていただけると嬉しいなぁ、と思います。

―― 以上、演出の野村和也さんでした。お疲れ様でした!

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*ちなみに、野村さんにはOPの演出の他に、11話の演出、20話の絵コンテ・演出・作画監督・25話の絵コンテ、26話の演出もご担当頂いています。

Posted by Bスタ : 2008年10月23日 22:24