2010.0716
最終回記念!制作裏話!!
制作 THE・談会 その一
最終回終了記念として長かった『鋼』を振り返り、
ヨタ日記を一度も更新しなかった制作進行の面々が
「鋼の錬金術師」という作品を振り返り、各々の胸の内を語るという企画!
ちゃんと最後まで更新できるのか???
参加者は
1、10、20、30、40、48、56、62話、オープニング4担当:永野
6、16、26、36、46、43、61、64話、エンディング4、5担当:塚田
6、14、22、32、43、52、60、63話担当:山岸
DVD特典3、19、33、54、63話担当:森川
特典4、20、41、49、59、62話担当:高見
最終回直前ボンズ社内にて:深夜2時
高見:僕ら(高見、山岸、森川は同期)が入社してすぐ「ハガネ」のイベント※1でした。
山岸:そのとき見た1話なんて、劇場みたいでしたね。
永野:それは言い過ぎ!
高見:その次のパシフィコ横浜の時も盛り上がりましたし。
塚田:あれ、いつ頃だっけ?
永野:30話の放送日だったかな。イベント会場で26話の生アフレコして。
塚田:ああ、あの評判のいい26話ね。(自分担当)
永野:うるさい! 26話の出来にはジェラシー感じたけど。
山岸:あれ、持っていきすぎですよ!
永野:鈴木さんとも話したんだけど、うちのスタジオの制作はなんだかんだ言いつつ、
「俺、負けねえ」って思っているでしょ。「俺の話数こそ最高でしょ」って。
あたしもだけど、ラッシュ※2から帰ってきた後に「よかった、よかった」って設定の
飯塚さんとかが言っている光景見ると、かなりジェラシー感じるもん。
塚田:それはすごくよくわかる!
山岸:でも、その話数の担当進行は案外納得してないことも多いですよね。
塚田:制作って、ラッシュの時に一番前で映像を見ることになるから細かいところまで
見えちゃうんだよね。
永野:中身も過程も一番知っているからこそ、納得できない。周りから「よかった」って
言われても「いや~」って。
高見:大体そうですよね。もっといい映像にしたかった、もっといい映像にできたんじゃな
いか、ああ、俺のせいだって。
塚田:でも、それでも映像となって絵を動いているのを見るのはすごく楽しい。
メイ・チャンとかすごく動かしがいがあると思う。
山岸:60話とか、はっちゃけてましたもんね。
永野:最後まで活躍してたね。あんなに活躍するとは思わなかった。
森川:意外と言えばカーリーですよ。
高見:カーリーはかっこよかった!
森川:ただのモブキャラ※3だったのに、アイキャッチにまでなっちゃったんですよ。
高見:カーリーの名前の由来って何でしたっけ。
森川:(文芸の)津村さんがカリアゲだからカーリーって。
山岸:いや、仮だからカーリーじゃありませんでしたっけ。
永野:62話なんてバンバン出てたよ。まあ、イケメンだったよね~。
森川:永野さん的には誰が一番イケメン、もとい誰が好きですか?
永野:オリヴィエは好き。
塚田:女の人って、みんなオリヴィエ好きじゃない?
森川:ええ、オリヴィエ好きですね!
永野:オリヴィエはきれいなのに、男より男勝りなところがかっこいい。
男性キャラも好きだけど。ハボックとかかっこいい。
高見:塚本さん※3はブレタをずいぶん推してましたね。
塚田:64話でも、エリとか立ててめっちゃ気合入れて描いてたし。
永野:塚本さんはオジサン好き。でもって筋肉も好き!
塚田:筋肉と言ったら柴田さん※5!!
山岸:62話のグリードの筋肉は凄かったですね。ハイライトもてんこもりで、
質感へのこだわりがすごかった。エドもすごかったけど。
塚田:エドは61話じゃない? プライドの影にひっぱられるところ。
永野:61話ならあそこがよかった。エドがセリムの精神世界に入っていくところ。
塚田:あそこは大城さん※6も凄い気合入れて修正のせてた。元の原画さんの絵も
すごく良かったけど、その上にさらに素敵な修正をのせてくれた。
永野:あそこ、ちょっと泣いちゃった。泣いたのは26話が初めてで…あ、22話もぐっと
きたなあ。スカーのお兄ちゃんの回想のところ。
山岸:僕、あれでスカー好きになりましたもん。
永野:山岸君にとっては初制作進行だったわけだけど、どうだったの?
山岸:いやあ。流れはわかってましたけど、実際にやるとなると全然うまくいかなくて。
永野:モブが多くて大変そうだった。
山岸:モブが多かったですねイシュヴァール戦!
今ならその大変さがわかるから嫌ですもん。辛さがわかるからこそ。
塚田:「ハガネ」は切っても切れないよね、モブ。軍人が出てくるから。
永野:あと人形兵も。あれもやってなかったっけ?
山岸:やりましたね。52話で。ただ、あれは3Dと併用だったので。
塚田:俺も53話でやったけど、人形兵は顔の合わせとかないし、デザイン的にも
まだシンプルなほうだし。軍人制服の設定の細かさはもっとずっと大変だったと思う。
永野:制服のパーツ抜けとかは、凄かった。このシーンでは手袋してる、してないとか。
高見:30話も大変でしたよね。
永野:30話もイシュヴァール戦の回想だったから。22話のBANK※7を使ってね。
山岸:僕の話数、けっこうBANK使われたんですよ。
30話で使われて、53話でもエンヴィーの変身シーン(#43)を使われて。
永野:63話では、40話のBANK結構使ってたよね。
森川:いっぱい使いましたよ。36話のホーエンハイムの旅立ちのシーンとかも使いました。
永野:山岸君の次に森川さんが進行として話数を担当するようになったのか。
森川:33話ですね。
永野:死にそうだったよね。あたし、ファミレスで相談乗ったの覚えてるよ。
「どうすればいいですか」って聞かれて、「う~ん。どうすればいいんだろう」って。
高見:たしか、列車に特効※8とかがあって……。
森川:そう、あの話数は本当に撮影さんに助けられました!雪とか処理も多かったし。
武井さん※9にも古本さん※10にも随分助けられました。
永野:33話ってあれか。列車の上でスカーとキンブリーが戦うっていう。
それだけでも大変な内容なのに。で、高見君が最初に担当したのは……。
高見:僕、特典映像が最初だったんです。で、演出が外崎さん※11で、
作監が松島さん※12。最強ペアですよ。仕事出来すぎて、全然苦労しなかった。
永野:本編は?
高見:41話です。大貫さん※13作監で、エドに鉄骨が刺さる話数です。
永野:隣でずっとヤバいヤバいって。「これ、どうすれば終わるんですか」って。
ブツブツ言ってた。大丈夫だよって生暖かく見守ってたけど。
山岸:なんとかなりましたしね。
塚田:確かに。でも、時間がなくなってなんとか終わらせる、っていう状況にはしたくない!
納期ギリギリで、動画とかすっとばして、一気に終わらせるって。
永野:みんな嫌だけどね。
でもみんな、そうならないように少しずつでも工程を進められるところは進めるじゃん。 それは偉いよね。それにスケジュールもあったから。
56話までは期間が3カ月あったんだよね。
塚田:それ、すごいことだよね。絵コンテマンもそうだし、チェックする入江さんもだけど、
みんなきっちり予定通りに上げてくれた。鈴木さんがしっかりスケジュールを
確保してくれて、それは制作としてもすごく助かった。
――ここで、僕らのデスク鈴木さんも参加――
塚田:ちょうど、今鈴木さんすごいって話でした。コンテを毎週しっかり上げてスケジュールを 確保してくれて。
鈴木:そこのくだりは編集しないで、そのままのせて!なんてね。
でもスケジュールに関しては、シナリオの決定稿が毎週しっかり出ていたおかげ。
だから絵コンテ期間のスケジュールも確保できて、現場作業INもほぼ予定通りに
だった。シナリオライター、絵コンテマンの方々と監督に感謝だよ!
続く。
※1イベント……ここでは2009年4月4日後楽園で行われたイベントと、2009年11月1日横浜で行われたイベントをさします。
※2ラッシュ……カット毎に出来上がった映像を見てチェックすること。
※3モブキャラ……特に設定化されていない群集のこと。
※4塚本さん……塚本知代美さん。主に5、14、25、36、46、56、61、64話に作画監督。
※5柴田さん……柴田淳さん。主にOP2、45、62、64話に作画監督として、5クール目はアクション作画監督。
※6大城さん……大城勝さん。主に8、19、28、38、49、56、61、64話に作画監督。
※7BANK……前話数で使った素材を再度利用すること。
※8特効……特殊効果の略。
※9武井さん……撮影監督の武井良幸さん。
※10古本さん……撮影監督の古本真由子さん。
※11外崎さん……外崎春雄さん。DVD特典2、ED4に演出。
※12松島さん……松島晃さん。DVD特典2、ED4に作画監督。
※13大貫さん……大貫健一さん。22、32、41、52話に作画監督。